武士道って何?(1) Was ist "Bushido"?-『LAST SAMURAI』と司馬遼太郎の『峠』
2008/05/15(木)[編集]
LAST SAMURAIラストサムライ公開直前特番 ハイライト
(この映画の渡辺謙の役どころは、西南戦争の「西郷隆盛」がモデルだと言われてるようですが、わたしは、新撰組の「土方歳三」にも通じるものを感じてしまいます。明治維新当時は、真反対の政治的な立場だったのにね。)
知り合いのドイツ人と雑談をしていたら、いきなり「新渡戸稲造の『武士道Bushido: The Soul of Japan(1900年)』を読んだんだけど、武士道って・・・」という話しの展開になり、新渡戸稲造の『武士道Bushido: The Soul of Japan』を読んだことがないLuna meerは、かなり戸惑ってしまいました。
このブログを見返してみると、「SAMURAI」でカテゴリーを一つ作る方がよいのかな〜と思うくらい、自分でも意外なくらい「侍」関係の話しをアップしていますが、新渡戸稲造の『武士道Bushido: The Soul of Japan』までは、とてもじゃないけどカバーしきれてないです(^^ゞ
しかも、この後の彼の話の展開は、三島由紀夫の最期にまで及ぶのですが、Luna meerは、三島由紀夫の市谷での行為は、一文学者の個人的な行為だという認識を持っていたので、ますます会話が成り立ちにくくなり(しかも英語で話していたので、細かいニュアンスは伝えにくいし…)途中で話しを変えて切り抜けましたが、いろいろと伝えきれず、なにか割り切れない感じが残りました。
そこで、少し武士道について考えてみようと思います。
新渡戸稲造の『武士道Bushido: The Soul of Japan(1900年)』は読んだことがありませんが、「武士道とは何か」をテーマにした司馬遼太郎の『峠』という作品は読んだことがあります。
この小説のあとがきの中で、司馬遼太郎は次のように著しています。
>人はどう行動すれば美しいか、ということを考えるのが江戸の武士道倫理であろう。人はどう思考し行動すれば公益のためになるかということを考えるのが江戸期の儒教である。この二つが、幕末人をつくりだしている。幕末期に完成した武士という人間像は、日本人がうみだした、多少奇形であるにしてもこの結晶のみごとさにおいて人間の芸術品とまでいえるように思える。
>サムライという日本語が幕末期からいまなお世界語でありつづけているというのは、かれらが両刀を帯びてチャンバラをするからではなく、類型のない美的人間ということで世界がめずらしがったのであろう。また、明治後のカッコワルイ日本人が、ときに自分のカッコワルサに自己嫌悪をもつとき、かつての日本人がサムライというものをうみだしたことを思いなおして、かろうじて自信を回復しようとするのもそれであろう。
>私はこの「峠」において、侍とはなにかということを考えてみたかった。それを考えることが目的で書いた。その典型を越後長岡藩の非門閥家老河井継之助にもとめたことは、書き終えてからもまちがっていなかったとひそかに自負している。
同氏は自著『手彫り日本史』の中で、「河井継之介」について、こう語っています。
>河井継之介という人は、たいへんな開明論者で、士農工商は やがて崩壊するということを、かなり明確に見通していた。封建制度の将来をあれほど見通していた男は、おそらく薩長側にもい なかったろうと思うんですが、その男が幕府側に立ち、官軍と戦って、自藩まで滅ぼしてしまう。それはどういうことなんだろうか、というわけです。
>自由人である河井継之介はいろいろなことを思えても、長岡藩士としての彼は、藩士として振る舞わなければならない、そういう立場絶対論といったふうの自己規律、または制約が、河井の場合は非常に強烈だったろうと思うんです。
>結局、彼は飛躍せざるを得ない。思想を思想としてつらぬかずに、美意識に転化してしまうわけです。武士道に生きたわけです。
かくして「河井継之介」は、「義」を選び、新政府軍を相手に凄惨きわまる北越戦争に突入し滅んでいく…というのが、この小説の筋です。
わたしは、この司馬遼太郎の小説、『峠』が、「武士道=命を懸けた壮絶な美意識」について一番わかりやすく説明したものではないかと思います。私心を持たず、公のために自らの役割を果たす、というストイックな姿勢に人々は「美」を見るのではないでしょうか。
一方、新渡戸稲造の『武士道Bushido: The Soul of Japan』は、”英語で米国民向けに書かれたため、ヨーロッパの歴史や文学が多く引用されており、武士道の本質を「義」とする道徳体系と定義し、江戸時代の儒教道徳の体系で、キリスト教道徳に類似する部分を恣意的に抜き出し、並べ替えたもの”という話も聞いたことがあります。つまり、最初に欧米人向けに英語での出版ありき、なんですね。
ところで、司馬遼太郎の『峠』の翻訳が海外で出版されたという話は、寡聞にして知らないのですが、なぜ海外で翻訳出版がされないのでしょうか?
日本の現代文学に関しては、海外での出版が増えてきていると聞きますが、こういった、若干、日本の歴史について基礎的な知識が必要そうな作品では、多くの読者数が見込めないと言うことで、あまり翻訳出版はされないのでしょうか?一昔前より今の方が、海外の人の日本文化に関する知識は、(たとえば、洋画で『LAST SAMURAI』が作られるほど)深くなってきていると思われるので、翻訳出版する価値はあるように思います。
Wikipedia(司馬遼太郎/峠)
「現代日本文学の翻訳・普及事業」(Japanese Literature Publishing Project:JLPP)
AmazonへLink↓
峠 (上巻) (新潮文庫)
峠 (中巻) (新潮文庫)
峠 (下巻) (新潮文庫)
【追記】
最初記事を書いた際には、沢田研二の『サムライ』の動画を入れていたのですが、あまりにも華があり過ぎ、わたしの駄文を喰ってしまうのでテキストリンクにかえました。
Link⇒沢田研二『サムライ』を歌う
どうしても女性の元を去ってやらないといけないことがあるのでしょうか?それが「サムライ」というものですかね。残される女性がかわいそうです(>_<)
片手にピストル
心に花束
唇に火の酒
背中に人生を
アア アア アア アアア
ありがとう ジェニー
お前はいい女だった
はんぱなワインより酔わせてくれたよ
だけど ジェニー あばよ ジェニー
俺は行かなくちゃいけないんだよ
寝顔にキスでもしてあげたいけど
そしたら一日 旅立ちが延びるだろう
男は誰でも 不幸なサムライ
花園で眠れぬこともあるんだよ
片手にピストル
心に花束
唇に火の酒
背中に人生を
アア アア アア アアア
ありがとう ジェニー
お前はいい女だった
お前とくらすのが しあわせだろうな
だけど ジェニー あばよ ジェニー
それが男には出来ないのだよ
≪吹き替えですかぁぁぁ(9)(天空の城ラピュタ Das Schloss im Himmel -飛行船/Luftschiffってやっぱりドイツのツェッペリン/Zeppelin が有名だよね!!)| ホーム |吹き替えですかぁぁぁ(8)(Lady Oscarベルサイユのバラはフランスの歴史だと思うんだけど・・・日本のアニメで違和感ないのかな??)≫
コメント
この記事へのコメント
日本は「翻訳天国」だけど・・・
なんで偏るのでしょうね?出版社の趣味?それだけニーズがあるのかなぁ…"俳句"作りたい人って海外には多いのかなぁ?日本みたいな「翻訳天国」にいると、どんな国の、どんなジャンルの本だって、翻訳されても不思議はないと思ってしまう。子供のころから海外のファンタジーとか、童話とか、推理小説とか、SFとか、、、国内の作家のものより、海外の作家の作品のほうをたくさん読んでる気がするんだけど…
2008/05/20(火) 06:27 | URL | Luna meer | 編集
翻訳本
いいですね、『剣客商売』の翻訳本!! でも、時代物の本の翻訳って”注釈”が沢山必要になりそうですね。(^_^;)実は週一度、English Libraryでボランティアしているんですが、たまぁに和書の翻訳本も見かけます。見かけるんですが、”俳句”を始め、文化的で”硬い”本が多くて・・・ 翻訳本って偏っている印象があります。
2008/05/19(月) 19:55 | URL | Nora | 編集
時代物だって、、、
そうなんですよね。別に村上春樹が悪いわけじゃないけど、時代物だって翻訳されてもいいのでは??と思います(~_~)Noraさんも、お気に入りの池波正太郎の『剣客商売』が、ドイツ語で(英語でも、他の言語でもよいですが)出版されて、いろいろな人が読んでくれるといいな〜とか思われませんか?
よく外国人には難しい、とかいう人もいますが、そんな風に思わなくてもよいと思うなぁ。なにせ、世界では映画の『LAST SAMURAI』や『七人の侍』が、ちゃんと評価されるのだから。
ジュリー似のTamaさんの同僚…それは、是非お会いしてみたいなあ"^_^"
2008/05/16(金) 22:45 | URL | Luna meer | 編集
翻訳本
海外では、村上春樹の翻訳本が人気のようですね。『ブックレビュ−』によれば、日本の翻訳本の海外で売れているトップ10中9冊が村上春樹の本でした。もう少し、高尚な翻訳本が売れてもいいのに・・・ と思います。活字が苦手な私が言うのもなんですが。
あ、また沢田研二登場ですね。因みに、今度赴任して来たTamaの相棒、沢田研二に似ています。(^_^;)
2008/05/16(金) 22:11 | URL | Nora | 編集
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